このページの本文へ移動

interviewインタビュー

木曽 千草 先生

2022.03.30

木曽先生が作る研修「人と人の化学反応が起きる仕組みを作ること、相手の良いところをみつけること」

木曽千草

本日は、弊社で研修にご登壇いただいている木曽千草先生にお話をお伺いしました。

この記事のもくじ

2つ以上出来ることを身につけようと思った

アビリティーセンター 以下アビ木曽先生、本日はどうぞよろしくお願いいたします。

木曽先生 以下敬称略よろしくお願いします。

アビまず木曽先生のご経歴からお伺いできますでしょうか?

木曽愛媛出身で地元の学校を卒業後、東京の外食チェーン店の本社に入社し、人材育成の基本を学びに行きました。店舗運営等もしながら、現場で新店舗オープンや採用・育成も行っていました。
その後愛媛に戻ったのですが、インテリア関係の仕事がしたかったんですね。
人材育成をするときに、例えば店舗接客の研修を行うとすると、「なぜこの店舗はこの作りなんだろう?レイアウトが悪いな、デザインが悪いな」と思うことが多く、そういった細かいことは働きやすさや早さ、お客様の印象に関わるので。「人材育成」と「インテリアデザイン」の両方が出来たらいいなと思ったんです。

アビ面白いお考えですね。

木曽2つあると希少価値が出るのではないかと思い(笑)。
やっぱり愛媛から東京に行くと、本当にピンキリの世界で、ふり幅がすごいなと感じたんです。色んなことが出来る人が沢山いて、自分も色んなことが出来た方が良いなと。

帰ってきてすぐはスキルの貯金をする時間に充てた方が良いと思いました。 学校にも行きましたし、建築事務所の事務も行いました。愛媛に帰って来てみたら足りない点が沢山あると気づいたので、学びに行ったり働いたりしながらスキルの貯金をした感じです。
ただやってみると、建築・インテリアの仕事はお客様に合わせて土日や夜のご対応が多いことがわかり、結婚や子育てを考えると昼間の仕事が中心の方が継続的に続けやすいと感じ、ある段階で区切りをつけました。

先駆けて体験した出勤しない働き方

アビその後は違うお仕事をされたんですか。

木曽ビールメーカーの営業フォローの仕事をしました。
私は料飲店の担当だったのですが、何をするかと言うと、営業マンは数多くの担当料飲店があるので、1か月に1回、代りに訪問する役割です。浮気防止のためみたいなことなんです(笑)。

アビなるほど(笑)。

木曽「最近お客さんの入り具合はどうですか?」と、コミュニケーションを取りに行くような仕事ですね。生ビールのサーバーは毎日洗浄した方がいいのですが、お忙しくてできない日もあります。行ったついでに「やりますよ」と言ってあげたりね。喜んでいただけるので。
良かったのが、月に120軒回るんですが、いつ行っても良かったんです。その料飲店が定休日がいつで、いつなら来ても良い、というのはありましたが、月の初めにできるだけ回っておいて、後は休んで、ということが出来ました。
出勤しなくて良いし、家から直行出来るのも良かったです。一人でしないといけないので、勇気もいるし大変な面もあったのですが、非常に良かったです。

この仕事で良かった点が2つあって、1つは、今の時代では当たり前の、出勤しない働き方の基本が体験出来ました。その時に、何がリスクで、どんな契約を交わして、どんな気持ちになるか、仕事の報連相をどうするか、といったことが大手でしっかりしていたので身に着きました。

アビ今ではコロナもありリモートワークは普及しましたが、当時ではまだ少なかったですよね。

木曽そうですね。実際に働いてみることによって、働く側の気持ちと、働いてもらう側の気持ちがわかりました。会社側がどのように私に接したり、モチベーションを上げているか、横のコミュニケーションをどう取らせるか、どうやって技術力を上げるか、といったことが、全て新鮮だったし「一人で考えて行動する」のはすごく良いことだなと感じました。そういったところでは、文句や愚痴を言っている人もいないんです。自立している人でないとこの仕事は続かないので。

多くのお客様から学んだ優しさ、人を大事にする大事さ

木曽もう1つ良かった点は、お客様とのやり取りです。訪問したお客様は、昼からカラオケのあるスナックや、大型店舗もあり、本当に色んなところがあるんですが、月に1回は行くので顔馴染みになってくるんですね。

色んな意味で、お客様(経営者や従業員の方)から学ぶことが物凄く大きかったんですよ。お客様から見ると私は取引業者さんです。接客中や開店準備の時間に訪問するので皆さんお忙しそうで戸惑いました。仲良くないと自分が辛くなるし、何とかコミュニケーションを取ろうと思って必死でした。
外食産業にいたので、業者の方への接し方は叩き込まれていたのですが、今度は自分が業者なんですよね。その業者を大切にされるところと、されないところがあり、「(業者の方を大切にするよう)言われてきたことはこういうことだったのか」と、身に染みて感じました。

その中で、色んな人が色んな話をしてくれたんですよ。「姉ちゃん時間あるならコーヒー飲んでいき」と言ってくれる人もいたり。また、お店に来てくれたお客さんとも仲良くなるんですよ。いち業者で行ったけれど、楽しいことだけでなく、感動することも学ぶことも、涙が出そうな程嬉しかったことも度々ありましたね。

アビお客様から学ばれたことは、どんなことがあったんでしょうか?

木曽2つあって、1つ目は、自分の生い立ちや考えを話してくれる人が多かったですね。
120軒もあるので皆早く終わって早く帰ろうと思うのですが、仕事自体は10分で終わるというときも、私は1時間いることも度々あって、良いなと思うお客さんの時は出来るだけ話を聞くようにしていました。自分の生い立ちや苦労話とか、こんなお客さんがいて面白かったとか、感動したという話をしてくださいました。

2つ目は、優しさについて学びましたね。
業者なので空気のような存在ですよね。優しくされる前提ではないんですが、存在感を認めてくれるだけで良かった。優しさは無視しないことだと思ったんですね。同じ条件で120軒回るので、ちょっとした差を敏感に感じるんですよ。
外食産業のときに、「とにかく業者さんは大事にしろ、どんなに忙しくても絶対感じ良くしないといけない」と言われていたことを思い出しながら行っていました。

また、外食産業のときの経験ですが、自分のピンチのときがあるんですよね。
冷凍品の納品業者の方がいらした際、本当はすぐに冷凍庫に入れないといけないのに忙しくて出来なかった時に、その納品業者の方が「しまっちゃる」と私に代わって冷凍庫に入れて下さったんです。
その方も私によく話しかけて下さって、私は社交辞令で話すくらいのことだったんですが、こういうことかと。業者さんに対して、本気でした訳ではないけれど、自分がピンチなときに職域を超えて助けてくれるんだなと思いました。ちょっとしたことだけど、人を大事にするということがいかに大事かということが分かりました。お互い様で助け合うんだなと。

アビとても大事な学びでいらっしゃいますね。

少しでも現実に近い納得感に寄り添いたいと思い提案する企画

アビその後、今のお仕事はどのように始められたのでしょうか。

木曽母が創業した会社を継いだんです。母と一緒に仕事をするのだけは嫌だったのですが、母が大病を患い、3か月ほど仕事を休むことになったんです。売上も下がり、経営が大変な時期にやむを得ず手伝いをすることになったんです。
始めてみると、思った以上に仕事が面白かったんですよね。
初めは、研修の営業、同行して打ち合わせして、運転手も事務も経理もやり、全部ですよね。
プランニングするのが好きなんですよ。お客さんの悩みを聞いて、作戦会議をするのが好き。
「こんなプランにしましょうか」と言っているうちに、「この後は〇〇先生、お願いします」というのが言いにくくて。ちょっと込み入ったものだと擦り合わせしても上手く伝わらないし、お客さんの満足度も下がるので、「それなら自分がします」と講師もすることになりました。

アビどのような研修を行われてこられたのでしょうか。

木曽研修は色んなことをしましたね。ビジネスマナーだけでない研修の企画提案を多く行ってきました。
例えば、坊ちゃん劇場と当社で「演劇スキルで社員の能力を開発する体感型シアター・トレーニング」という研修をしました。私が坊ちゃん劇場の後援会の役員をしているので、坊ちゃん劇場の役者さんと会う機会があり、「役者さんのスキルがビジネススキルに活かせないか」と思い作りました。

アビアビ面白い企画ですね!

木曽今はメニューもニーズも世の中に無いけど、作ってみる、というのをよくするんですよ。
他では、清掃業界は各県に協会支部があり、青年部のメンバーに管理職研修をしていたんです。その中で、「自分たちが地域貢献できるようなことをした方が良いのでは」と提案し「びるめんキッズおそうじ隊」というイベントを企画しました。

子どもさんたちに清掃体験をしてもらうんですね。企画の組み方、PRの仕方、どうやってトレーニングするか、当日会場でどうするか、何を準備するかという全部を、その青年部の人に用意してもらうんです。
そうすることによって、リーダーシップ研修が抽象的なものではなく、その場で発揮されたり、同じ業界の横の繋がりも強くなります。イベントまでのプロセスそのものが研修という枠を超えた学びになる。そういうことを考えるのが好きなんですよ。

アビ実践的な研修と、社会貢献を同時に行われるんですね。それは木曽さんからご提案されるんですか?

木曽はい、ご提案することは好きです。実現に至らないこともありますが、「それ面白いね」となった時は嬉しいです。行政関係の企画提案も実施する機会をいただきました。雇用対策と観光が多かったです。一般的な研修メニューとは違うこともご提案できるよう意識しています。

アビ依頼される研修のみ行う、というのもあると思うのですが、ご自身から提案されるんですね。

木曽もちろん一般的な研修も多くありますよ。
ただ、何の研修していてもジレンマがあるんですよ。「研修講師はキレイごとを言っていると思っているだろうな・・・」と相手の気持ちが分かるから、いつも不完全燃焼で。
言葉で言うと「研修移転」ですが、現場に近づけることを考えています。提案をしているのは、おこがましいかもしれませんが、少しでも現実に近い納得感に寄り添いたいと、相手のためと言いながら、自分のために行っていると思います。

アビそんな風に思われているんですね・・!

木曽社会貢献事業をしているのもそうだと思います。依頼が来たら引き受けてしまうのは、人材育成は人と人の出会いの化学反応でしかできないと思っているので。
対話したり、何か一つのことをやったり、化学反応が起きる仕組みを作るのが研修講師の役割だと思っています。研修中だけでなく、受けた人同士が出会い、私の知り合いの方と出会っても面白いかな、と考えたりします。

これまでに、多くの委員や社会的役割をいただく機会に恵まれました。愛媛県さくらひめ大使と愛媛シルク大使もそのうちの一部です。本業以外のことをするうちに、信頼関係をつくる業界や知り合いも増えました。ヒトやモノやコトを紹介したり繋げたりできるようにもなってきました。それが与えられた役割でもありますし、私自身のやりがいにつながっていることに気づきました。
人に紹介できる人にはなりたいなと思っていて。(大使活動は)最初は遠慮気味に発信していたんですが、皆さまのお役に立てるよう積極的に発信や活動することが責任を果たすことだなと思っています。
「2つ以上のことができるようになりたい」との願いが、皆さまからのご縁や機会をいただくことで自然と叶えられた気がします。どれが本業かの定義づけはせず、役割をいただくうちはチャレンジして恩返ししたい気持ちでいっぱいです。

女性活躍は自立・自律した人を育てること、あなたの良いところをみつけたい

アビ色々な活動で活躍されている木曽先生ですが、女性活躍に関して思うことを教えていただけますか?

木曽自立・自律した人を育てるのが、女性活躍の本丸だと思っています。
経済的なことと、精神的なことも含めて自立・自律できるということ。お金を稼いでいても精神的な自立・自律は悩むこともあるし、ライフステージが変わるとまた違った悩みもでてくる。見た目も含めて自分をコントロールしにくくなるんですよね。
自分で決めて自分で幸せを掴んで羽ばたいていって。誰かに遠慮することないわよ、あなたの人生あなたが主役よ」と思います。

もう一つは、年を重ねてきて思うんですが、「年を重ねることはこんなに良いことなんだ、年を重ねたら楽しそう、いいよな」という感じでありたい(笑)。それは年上の責任というか。楽しそうだなと、年取るのが怖くない、ポジティブに捉えてもらえるように生きていこうと決めました。ネガティブな気持ちで会社を引き継ぎましたが、母親には感謝しています。

アビ経済面だけでなく精神的にも自立・自律するというのは、大切なことですね。
最後に、木曽先生の研修受講を検討されている方に、メッセージをいただけますでしょうか?

木曽会いたいから来て(笑)。

アビ直球ですね!(笑)

木曽みんなの良いところを引き出したくて仕方ないから、褒めたいから来て。
「あなたの笑顔を待っている人が必ずいるから」と昔言ってもらったことがあって、「そうなんだ!苦しくっても私の笑顔を待ってる人がいるのね・・」と思ったので、その逆で、今は相手の良いところを伝えたいと思っています。

「木曽さんに褒められたのがすごく嬉しかったです、自信になりました」と、何年か経ってばったり会った時に言ってくれることがあるんですよね。(相手の自信に繋がる)価値があるんだなと思い、そういう立場にあるなら、この機会を使わないといけないなと思います。
だから、「あなたの良いところをみつけたいから来て」とお伝えしたいです。

アビ木曽先生の魅力が溢れるお話をお伺いできて嬉しく思います。
本日はどうも有難うございました。

木曽先生は2022年5月17日に開催の「【女性社員対象】キャリアデザイン研修」に登壇されますので、ご興味をお持ちいただけたら、是非ご参加いただけたら幸いです。

木曽先生のセミナーに参加したい方はこちら

以下研修は終了いたしました