interviewインタビュー

2025.01.31
馬場先生に聞く~ロジカルシンキングとは~
ビジネスパーソンに必須のスキルと言われるロジカルシンキングは、どのように身につければいいのか、エンジニア出身の馬場勝男先生に伺います。
馬場 勝男 先生 プロフィール:
広島大学大学院工学研究科移動現象工学専攻博士課程前期修了。石油化学企業で国内外のプラント建設に従事し、海外経験は13年に及ぶ。
企業での最後の4年間は、技術研修所の所長として全社の社員教育を統括。定年退職後、その経験を活かし、現在はフリーランス講師として活躍している。
聞き手|アビリティーセンター企業研修グループ 田中恵子
ビジネスパーソンに必須のロジカルシンキングとは
-技術研修所の所長をしていらしたということですが、人材育成や教育に会社員時代から興味があったんですか?
馬場:長く海外で技術移管の仕事をやっていました。技術移管とは技術を現地の方々にお伝えすること。実はずっと教育を仕事としてきたのかもしれません。サウジアラビアでの最後のプロジェクトが完遂し帰国するとき、正式に人材育成の仕事をさせて欲しいと会社に申し入れました。ちょうど研修所所長の席が空いており、会社生活の最後4年間を研修三昧で過ごすことができました。コロナ禍と重なり仕事自体は大変でしたが、「学びを止めない」を合言葉に研修所全体で対応し、多くの経験を得られた時期でした。
-その経験を活かして定年退職後は講師としてご活躍なんですね。今回は、弊社の研修でも馬場先生にお願いすることが多いロジカルシンキングについてお聞かせください。まず、ロジカルシンキングとは簡単に言うと何でしょうか。
馬場:簡単に言うと、ロジカルシンキングは「筋が通った考え方や説明の仕方」です。例えば、複雑な情報を整理して自分で理解したり、それを相手に分かりやすく伝えたりすることに役立ちます。特にビジネスの場では、自分の考えを的確に伝えることが非常に重要ですよね。このスキルを持つことで、職場内でのコミュニケーションや意思決定の質が大きく向上します。
-具体的にはどんな場面で役立ちますか?
馬場:一例として、会議で自分の意見を述べるときや、取引先に提案をする場面があります。ただ単に「これが良いと思います」と言うだけではなく、「なぜそれが良いのか」を論理的に説明できれば、相手も納得しやすくなります。また、複雑なプロジェクトの課題を整理し、解決策を導き出す際にも非常に有効です。ロジカルシンキングができると、自分の意見に説得力が生まれ、相手を動かす力が身につきます。
早い段階で身につけるメリット
-特にどんな人に必要だと思われますか?
馬場:これはもうすべてのビジネスパーソンですね。入社後早い段階でこのスキルを身につけることを強くおすすめします。
-早い段階で学んでほしい理由を教えていただけますか?
馬場:若手社員にとって大きなメリットが3つあります。
1つ目は、説得力が身につくことです。論理的な発言力があれば、職場内での議論で遠慮せずに自分の意見を伝えられます。
2つ目は、自信がつくこと。意見を整理して伝える力がつくことで、発言や行動に自信が生まれます。結果として、積極的に新しい業務に挑戦するようになります。
3つ目は問題解決力が向上することです。複雑な問題を分解して整理し、解決策を導き出す力が強化されます。これは、日々の業務やチームでの信頼構築にもつながります。-どのように身につけたらいいんでしょうか?
馬場:まずはロジカルシンキングの基本原則であるMECEなどを理解することが大切です。その上で、実際に業務で直面する課題を整理・分析してみると驚くほど効果が実感できるはずです。私の研修では、こうした原則を楽しく学びながら実践していただける内容をご提供しています。
-ところで、〇〇シンキングってロジカル以外にも色々あって、よくわからないのですが(笑)
馬場:その通りです!例えば、ロジカルは「なるほど!」、クリエイティブは「そんなばかな!」という感覚で捉えると分かりやすいかもしれません。
決して理系の人のものではない
-なるほど(笑)文系はロジカルシンキングが苦手と言われるし、実際私も苦手意識を持っていますが、「なるほど!」と思ってもらうためのもの、と捉えるとそんなに難しく考えなくてもよさそうですね。
馬場:文系の人にも非常に役立ちます。例えば、文章をベースに考える文系の方がフレームワークを活用することで、情報を整理したり、相手に伝わるストーリーを作ることができます。「文字情報のロジカル化」とでも言いましょうか。理系の人のものと思わず使っていただきたいです。
-ロジカルシンキングで考えたことを、ロジカルなまま伝えたいのですが、何かコツはありますか?
馬場:例えばパラグラフライティングという手法があります。全体の構造として結論を先に提示するだけでなく、個々のフレーズの先頭にもそのフレーズの要約をつける手法です。これが、忙しいエグゼクティブに説明するときに有効なんです。相手が知りたい事=結論を端的に伝えることができますからね。またその作業の仲で常に、本当に何が大事かを考えることができるので、文書が更に洗練されてゆきます。
冷たい印象のロジカルシンキングから血の通ったロジカルシンキングへ
-馬場さんのロジカルシンキング研修の特徴を教えてください。
馬場:「血の通ったロジカルシンキング」をお伝えすることを目指しています。ただ理論を教えるだけでなく、実際のビジネス現場での失敗例や成功例を交えて学びます。
例えば、製造現場でよく使われる「なぜなぜ分析」。これを人に適用すると、個人を責めたり、ルールを厳しくするだけの結果に陥りがちです。そこで、ミスを防ぐシステムや環境整備に意識を向けることが重要だと教えています。また、研修ではグループで架空の問題を解決するワークを行いながら、楽しみつつスキルを身につけられる構成にしています。
-ロジカルというと、少し冷たい印象がありましたが、「血の通ったロジカルシンキング」であれば、みんなで取り組めそうですね。女性活躍推進研修のプログラムにも導入を予定しております。ありがとうございました。
馬場先生の研修にご興味をお持ちいただきましたら、営業担当者、もしくはお問い合わせフォームからご連絡いただけたら幸いです。