interviewインタビュー

2025.01.08
川島先生に聞く~コンプライアンス意識を高めるには~
コンプライアンス研修やハラスメント研修で、組織の理念やビジョンの重要性を伝えているという川島徹也先生に、その背景を伺います。
川島 徹也 先生 プロフィール:
大学時代に実家の米つくりの手伝いをきっかけに、食料問題に興味を持つ。
高知県経済農業協同組合連合会入会時に、農協学園にて本科研修を受講、その後石油事業を担当。
統合時に全農本所にて石油事業を担当、この頃、コーチングと出会う。以後、コーチングを学びながら、仕事に役立てる方法を模索。
JAエナジーこうちにて、県域JA組成に伴う燃料事業移管を実施。取扱高7億円の会社が、一夜にして85億円となる体験を通して、コーチングを生かした会社運営に取り組み、組織の変革を達成。
聞き手|アビリティーセンター企業研修グループ 田中恵子(元高知放送アナウンサー)
経営者から見たコンプライアンス意識とは
-まずは、社長を退任後、講師となったきっかけを教えていただけますか?
川島:長らく「プロのコーチ」と「サラリーマン」の2足の草鞋を履いてきました。課長になった時は、「プロのコーチが課長ならどんな課にできるか挑戦」し、部長なった時もどんな部にできるか、子会社の社長になった時はどんな会社にできるか、チャレンジしてきました。子会社の社長の7年間で、多くの社員が変わった手ごたえを感じることができました。その手法を、経営に悩んでいる経営者の皆さんや、そこで働いているメンバーにお伝えしたいと思って、講師の道を選びました。
-高知の「コーチ」で「講師」ということですね(笑)
今日は、川島先生にご登壇いただいている「コンプライアンス研修」についてお聞かせください。コンプライアンス違反の発生をきっかけに、コンプライアンス研修を実施したいというご相談をいただくことがあります。川島さんは、経営者の立場で、コンプライアンスと向き合ってこられたと思いますが、どうご覧になりますか?
川島:コンプライアンス違反が起こる直接の原因は、それを起こした本人にあります。ただ、いくら本人を厳罰に処したり、損害を弁償させたりしたとしても、コンプライアンス違反が起こる土壌(組織風土)は変わりません。一番の原因は、組織のメンバーの中にある「私は私の仕事をちゃんとこなしている。」とういう思いです。組織の多くのメンバーがこう思いこんでしまっている組織では、いつコンプライアンス違反が起きてもおかしくないと考えています。
-「私は私の仕事をちゃんとこなしている。」という思いは、一見悪いことではないように聞こえますが・・・
川島:その言葉に続く「それさえやっていればいい。他の人が何をしていても関係ない」という雰囲気に問題があるんです。
-なるほど!確かにそれだと、コンプライアンス違反が起こりやすい状態になりかねませんね。
自分に何ができることを考えることが重要
川島:課長時代に、課の引っ越しをしたことがありました。LANケーブルとか配線がたくさんあってゴチャゴチャしていたので、次に備えて全部に番号をつけていったんです。一人だけ手伝ってくれましたが、こういうことって「誰かがやってくれる」と思っていたり、当面の必要性がないので「自分がやらなくてもいい」と思って、なかなかやってくれる人がいないんです。自分の荷物を運んでいればいい、ではなくて、他に自分に何ができるかを考えてもらいたいですよね。
-確かに、みんなが自分の荷物だけ運んでも、引っ越しは完了しないですもんね。では、コンプライアンス違反を生まない組織を作るためには、何が必要だと思われますか?
川島:まずは、自分の仕事が誰のどんな「役に立っている」かを、組織のメンバー一人一人が理解することだと思います。漠然と「お客様のため」とか言っているうちはだめですね。自分の組織がどんなお客様のどんな要望を満たして喜ばれているのかしっかり理解すること。そして、自分自身の仕事が組織全体の中でどんな位置にあり、どんな関係の中でそれが行われているのか把握することですね。多くの組織では、おざなりにされてきた部分ではないかと思います。今日の稼ぎのためには、必要のないことだからですね。世の中が変わっていく中で、自分たちが、必要とされ続ける組織であり続けたいのであれば、放っておくことはできないことだと思います。
経営理念やビジョンを明確にすることの意味
-そういう自己認識を社員に持ってもらうには何が必要ですか?
川島:個人の価値観やビジョンと、組織の経営理念やビジョンが重なり合うところを見つけていく、ということが重要だと思っています。個人の価値観「何を大切にするか」とビジョン「何がやりたいか」ということは、ぜひ、面談や1on1でしっかり聞いてあげてほしいです。併せて、それが組織の経営理念やビジョンと重なり合うところがないと、組織のことを考えられませんので、経営者はそれを明確に伝えていく必要があると考えています。そのうえで、「あなたがやりたいことで、うちの会社に役立つことは何?」という問い掛けをすることが大切だと思います。
-だから、研修でも組織の理念やビジョンの重要性を伝えてらっしゃるんですね。川島先生のコンプライアンス研修はどんな研修なんでしょうか?
川島:自分の会社でもそうでしたが、コンプライアンス違反が起きた時がチャンスです。その時に、「犯人捜し」や「組織の不備捜し」をするだけでなく、メンバー一人一人が「自分にできることはなにかないか」と考えてもらえるような研修を実施できるように工夫しています。メンバー全員が「当事者」になって考えることが大切だと思います。そうすると、1+1+1=3ではなく、4や5になる活動ができると考えています。
-コンプライアンス違反が起きたときに、「自分事として考えられるように」と言われても、「自分は悪いことしてないのに」「自分は絶対そんなことしないし」と反発があるよなあと思っていましたが、事案発生に対し「自分にできることはないか」と考えるのが大切なんですね。
川島先生の研修にご興味をお持ちいただきましたら、営業担当者、もしくはお問い合わせフォームからご連絡いただけたら幸いです。