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interviewインタビュー

三宅 俊輝 先生

2022.07.28

コミュニケーションのプロ 三宅先生に聞く1on1・コーチングのコツ「1on1を通じて上司の方も自分の枠が広がり、自分の仕事に集中できる」

三宅俊輝 コミュニケーション
この記事のもくじ

本日は、近年取り入れている企業も多い1on1、コーチングについて、三宅先生にそのコツをお伺いしました。

三宅先生のご経歴とコミュニケーションについて伺ったインタビューはこちら

相手に合わせて的確なコミュニケーションスキルを取る

アビリティー以下アビ三宅先生、本日はよろしくお願いいたします。

三宅先生 以下敬称略よろしくお願いします。

アビまず基本的ですが、1on1、コーチングとは何かお伺いできますでしょうか。

三宅1on1は、部下・個人を中心としたミーティングのことを指します。上司が一方的に話すような面談ではなく、部下が話をしたいことを話してもらう、そして本人自身が自発的に行動したり、成長できるように過ごす時間の使い方です。

その時に使うコミュニケーションスキルが、コーチングです。そもそもコーチングとは、様々な定義がありますが、目の前の方の目標達成をサポートするためのコミュニケーションスキルと私は定義しております。図でよく説明するのですが、横軸を過去・未来といった時間軸、縦軸をネガティブ・ニュートラル・ポジティブとした時に、ネガティブ・過去の状態にある人を、ニュートラル・今に導くのがカウンセリングというスキルです。

そして、ニュートラルからポジティブ、今から未来の状態に導くのがコーチングというコミュニケーションスキルです。 ですので、1on1であっても、部下の方が困っている時や悩みがある時にはカウンセリングのスキルを使うのですが、今後の目標やキャリアプランを考えていく時には、コーチングというスキルを使うととても効果的です。

アビすごく分かり易いです。ネガティブからニュートラルにするのは、カウンセリングになるんですね。

三宅例えば「仕事辞めたいんです」と言っている人に、「5年後仕事何したいの?」と言っても、「いやいや・・」となるじゃないですか。「すごく職場で困っていて、上司に色々言われて辛いんです」と言う人に、「じゃあ君はその人とどんな関係になっていたいの?」と言われても、考えたくもないですよね。

これは、カウンセリングが必要なのにも関わらずコーチングをしたことによるミスコミュニケーションが起こっている状態ですね。 ですので、相手の状態に合わせて、的確なコミュニケーションを取っていく必要があります

アビなぜ今、コーチングや1on1が必要とされているかお伺いできますか。

三宅今、情報がとにかく多いのが理由の一つとして挙げられます。ネットには色んな情報があり、職場では色んな上司がいて色んな意見がある中で、何が正しいのか、誰についていけばいいのかわからない、というのが部下の方の悩みなんですよね。そして、安心して話せる場がないのも一つ、挙げられるかと思います。

働き方改革であったり、コミュニケーションがなくなったりしたことによって、話せる場がなくなって、職場のガス抜きと言いますか、愚痴を吐く場所がないことですね。

それと、上司の方々が色々と言うことによって、部下の方が自発的に考えない傾向が強いです。「自分の意見を言っても無駄だ」と思っていたり、自分の意見を奥底に隠してしまっている方もいますので、それを表面化させる、出していくことによって、爆発して「仕事辞めます」とならず、小さな問題のうちから問題を顕在化させることが出来るというのが、1on1が必要とされている理由だなと感じます。

相手の興味関心に興味を持つ、「ありがとう」が多い会社は業績が良い

アビ上司の方が、1on1、コーチングをされる時に、効果的な進め方がありましたら教えていただけますか。

三宅一番効果的なのは、まずは上司の方が1on1を受けることですね。企業様に入らせていただいて感じるのは、そもそも自分が受けたことがないのに、本を読んだり動画を観ただけでやれと言われていたりして、正解を掴めていないんですね。なので、まずは自分自身が受けるというのが一つ大きいかなと思います。

例えば「頭がすっきりした」「何をしたら良いか分かった」というように、本を読んでも中々分からないこと、実際に体験しないと分からないことが、自分が受ければ体で感じられることがあります。

やはり部下の方も実験台ではないので、オリジナリティでやりすぎるとかえって関係性が悪くなる場合もあるなと感じます。最初は型に沿った方が良いですね。

アビ部下の方に話してもらうのが1on1とおっしゃっていましたが、確かに聞き方等は人によって違いそうですが、コツはありますか。

三宅そうですね、1on1の流れを説明すると、最初に場の空気感を安心・安全にする必要があるので、アイスブレイクで空間を作るのが初めです。

その上で、部下の方にテーマやゴールを決めてもらいます。課題と感じていることや、困っていること、今後のキャリアプラン、何でも構わないので、あなたが話したいことを話して下さいと伝えます。

そこから初めて、聞く、傾聴が始まっていくのですが、よく悩みとしてあるのが「深堀が出来ない」ということです。原因としては、「自分が知りたいことを聞いている」というのがあって、聞き方としては、相手の興味・関心に興味を持って話を聞くというのが必要になります。

例えば、車業界で「オイル交換が出来ない」という時に、上司としては、「なんでオイル交換が出来ないんや、そんな簡単なこと出来るやろ」と思うかもしれないのですが、部下が「オイル交換が出来ない」と言っているので、まずは認めたり、そこに対して興味を持って、何がそうさせているのか、深堀していく。相手の発言をないがしろにせずに、全て受け入れる姿勢、相手の興味・関心に興味を持って聞いていく姿勢が必要です。

そして深堀をしていった後には、行動を促していく必要がありますので、「何からやっていきましょう」と言う風に持っていきます。

「どうしていったら良いと思いますか」と、まずは相手に考えてもらう。向こうからアドバイスを求められたらアドバイスしてもいいのですが、基本的にはこちらからはアドバイスはしないという姿勢で、「私にできることはありますか」と、サポートできることを伝えます。

そして、最後に感謝を述べて終える、というのが流れです。「今日は率直に話をしてくれてありがとう。これからも頑張ってください」と言って終えます。

アビ今の話をお伺いするだけで、良い上司だなと思いますよね。話を聞いてくれてサポートしてくれて、感謝までしてくれるんですね。

三宅頑張ろうと思えますよね。

アビ最後の感謝というのはポイントなんでしょうか。

三宅感謝は大きいですね。会社様に行って思うのは、「ありがとう」の数が多い会社ほど、人間関係が良かったり、業績が良い、というのはあるなと感じますね。

ある会社様で「人が続かなくて困っている」という依頼をいただいたのですが、原因として感じたのは、問題が起こった時にトップの方が社員の方に対して理詰めにしていたんですね。新入社員や若手の方に感謝出来ず、「やって当たり前」という状態になっていたのですが、徐々にですが、話を聞けるようになり、ありがとうの数が増える中で、研修の中でも社員の方から笑い声が出てきたりするようになったんです。

アビ感謝をすることで、業績にまで繋がるんですね。マインドの部分なので、変わるのも難しいように感じますが。

三宅変わりたいと思えば、必ず変われます

アビ力強いお言葉ですね・・!

話を聞いてくれる人がいるだけで、認められた気持ちになり前向きに動いていける

アビ1on1導入時の問題点や注意点をお伺いできますか。

三宅最初はちゃんと学んだ方が良いと思いますね。

上司にとっても「今更何するんや」、部下にとっても「何を話したら良いのか」というように、不明点が沢山あると思うんですよね。理解していないと、ただ雑談になってしまったり、ただ時間を過ごしている、というようになってしまいます。

アビ本ではなく研修で学ぶのは、どんなことが良いのでしょうか。

三宅本で学ぶと理論が分かるので、もちろん良くてやった方がいいと思うのですが、少し深いことを言うと、声の方向性だったり、声を出す位置、気の流れ、何となく感じるもの、相手の感情の動きといったことを、体験すると理解することが出来ると思います。

アビ研修では実際に1on1を行ってみるんですか。

三宅はい、実際に行っていただきます。

上司役と部下役に分かれて、心が離れた瞬間にストップする、聞いてくれてないなと思った瞬間にストップする、ということをやります。

アビそれは緊張しますね!ストップされた方は、どういうリアクションが多いんですか。

三宅様々ですが、驚く方が多いですね。私の方から理由も説明しますし、実際にストップした方に、なぜストップしたのか、どんな時にストップしたのかも聞きます。そうすると、「もうちょっと話したいことがあった」「強制的に誘導的な質問が投げかけられていると感じた」といった意見が出てきます。

アビ面白いですね。

1on1はどういう会話から始めたら良いんでしょうか。

三宅1年後どんな状況でありたいですか」「目標はどんな目標ですか」といった問いですね。最初は難しく感じるかもしれませんが、トレーニング次第で必ず出来るようになります。

アビ話したいことを聞いても「ないです」と言われてしまった場合はどうしたら良いんでしょうか。

三宅その場合は関係性の問題なので、ペアを変えた方が良いですね。例えば隣の部署の課長等ですね。

アビ直属の上司でなくてもいいんですね。

三宅直属の上司でなくても構いません。部署が同じだと現場でサポートすることは増えますが、もし同じ部署でなくても、本人が自発的に考えたり、自発的に行動できるようになったり、もう一つは、「誰か話を聞いてくれる人がいる」というだけで、認められた気持ちになって、前向きに動いていけるというのはあります。

また、よく1on1で質問が上がるのが、「話が脱線したときどうしたら良いですか」という話です。先程1on1の流れを説明したように、テーマを設定するのが一番大事で、話が脱線した時に「そもそも今日の時間ってどう使いたかったんでしたっけ」と戻っていただくのにも、テーマが必要です。テーマがあれば元に戻すことが出来るので、テーマを部下の方に考えていただいて下さい。

 1on1を通じて上司の方も自分の枠が広がり、自分の仕事にも集中できる

アビ相手の話を聞くのが苦手な方もいらっしゃると思うのですが、何かアドバイスはありますか。

三宅興味のないことをやってみる、というのがお勧めですね。

例えば、自分が全く興味がなかった映画を一本集中して観てみる。そうすると、これまで興味が無かったことに対して、真剣にみていくと興味は沸くんですよね。そして、新しい自分自身の知見が広がっていくので、人間関係も全く同じで、これまで興味がなかった話も聞けるようになっていって、自分自身の枠がどんどん広がっていきます。

あとは、沈黙も一つのスキルなので、沈黙の時間も大事にすることですね。

アビ自分の枠が広がるんですね。

今管理職の方で、自分の時は話を聞いてもらうというのがなかったのが、部下の話を聞くように求められて、戸惑われている方もいらっしゃると思うのですが、いかがですか。

三宅正に多くいらっしゃいます。まず、1on1の効果を知っていただきたいなと思いますね。

1on1という手段は一つのきっかけでしかありません。それを通じてどうなるのかが分かれば、1on1に対する向き合い方も変わってくるのかなと思います。

どんな効果があるのかというと、部下との信頼関係が構築されます。そして、情報も得られて、理解が深まります。部下の方が自発的に考えられるようになっていくので、結果的に、全部上司の方が仕事を担っていたのが、部下が自らやってくれるようになったりしますので、業務付加が減ります。なので、上司は上司の仕事に専念出来ます。マネジメントや決断、育成というところに力を注げるようになります。また、部下のモチベーションも向上します。

会社様から伺った成果でお伝えすると、「辞めようとしていた社員が辞めずに済んだ」「小さな問題でも報告してくれるようになった」「部下から上司を飲みに誘ってくれるようになった」ということがありました。こういった効果がありますので、ぜひトライしてもらえたらなと思います。

アビ最後に、1on1の導入を検討されている方に、メッセージをいただけますでしょうか。

三宅ぜひトライしてくださいというのが結論なのですが、私自身、(退職をした)自動車整備士時代に誰か話を聞いてくれる人がいたら、辞めていないと思います。

最初は先輩が気にかけてくれて、毎日飲みに誘ってくれたりして愚痴を聞いてくれていたから、続いたんですね。そういう人がいなくなった瞬間、ストレスもありますしメンタル的にも辛くなってしまったので、話を聞いてくれる人がいることで安心・安全の場が広がっていって、会社ももちろん良くなるし、お客様との関わり方もヒアリング力が向上したり、本当に色んなところに良い影響がでますので、是非導入をお勧めいたします。

アビ1on1は多くのところに良い影響があるんですね。本日は貴重なお話をどうも有難うございました。

三宅三宅先生はコミュニケーションのプロフェッショナルで、多くのクライアント様のお悩みを解決されています。是非研修で三宅先生のコミュニケーションを体感いただけたらと思います。

三宅先生の研修にご興味をお持ちいただきましたら、是非営業担当者、もしくはお問い合わせフォームからご連絡を頂けたら幸いです。