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健康経営とは? 経営課題解決 企業価値向上 健康増進の戦略的な仕掛けで会社の成長に繋げる経営戦略手法

「健康経営」という言葉をご存知でしょうか?
アメリカを発祥に、日本でも経済産業省の推奨で企業に取り入れられ始めた経営戦略の一つです。人々の価値観の多様化が進む中で、一人一人の健康を守りながら働くために、ぜひ知っていただきたい「健康経営」についてご紹介します。

案内役

宮尾 亮子 氏
Ryoko Miyao

株式会社保健同人フロンティア
価値創造推進部 企画・マーケティング室 室長/CWOオフィス
(臨床心理士・健康経営アドバイザー)

宮尾 亮子氏 プロフィール

-経歴を教えていただけますか。

新卒で都立病院の精神科に入職しました。臨床心理士として、精神的・心理的な問題を抱える患者さんに、治療としてのカウンセリングやサポートを行っていました。特に依存症の患者さんやそのご家族を支援することが多かったのですが、その中で、「病気の世界は日常の延長」にあると思ったんですね。大手企業に勤めていた人が、ちょっとしたきっかけでアルコール依存症になってしまう、というような症例を通して、いかに社会の中でセルフケアや予防の重要さを伝えていくかが大切だと感じました。

その後、転職をして別の病院で勤めたのですが、やはり医療の世界で治療に当たるというフェーズから、企業で働いている方々を早期に予防することに関わりたいと考え、現職に転職しました。

-依存症と言いますと、アルコールやギャンブルが思い浮かぶのですが、そういったものですか。

そうですね。アルコール、ギャンブル、あとは覚せい剤などの薬物依存も含まれます。

依存症の患者さんの中には、元々は一般企業に勤めて高い能力を発揮していた人も多いんです。だけど、仕事や人間関係、家庭のトラブルなど様々なストレス要因を解消する方法として、アルコールや薬物を頼るようになってしまった。そうして社会的にも孤立してなかなか日常に戻っていくのが難しくなってしまう…というケースが多々ありました。このような状況になるより前に、もっと適切なストレス対処に出会ったり、誰かに相談できるという環境だったりと、社会の中でサポートできる仕組みがあるのではないか、と考え、予防の取り組みやアプローチに関心を寄せるようになりました。

-現在の業務内容を教えてください。

人々が元気にいきいきと働くための、仕組みやサービスを考えています。企業人事および企業が所属する健康保険組合の皆さまをサポートするような、健康経営・健康増進に関するサービスの企画・開発・マーケティングを行っています。顧客は首都圏を拠点とする大企業が多いですが、支社が関西と名古屋にありますし、全国どこでも対応が可能です。

いま、なぜ「健康経営」なのか?

健康経営とは?

-「健康経営」とは何ですか?

従業員の健康増進に戦略的な仕掛けを作ることで、会社の成長に繋げていく経営戦略手法です。

健康経営を上手く取り入れている会社は、従業員のエンゲージを高めているなと感じます。ですので、従業員が会社に対してエンゲージして、その中で力を発揮できる土壌を作るのが健康経営になると思っています。

-健康経営の発祥はどちらですか?

元々は2000年代前半にアメリカで生まれた「ヘルシーカンパニー」という考え方です。

ジョンソン・エンド・ジョンソンが、従業員の健康を重視するチームと、そうでないチームを作って一年間みたところ、健康を重視するチームの方が力を発揮できて、1ドルの投資に対して3ドルのリターンがあったという論文を発表しました。

日本に持ち込まれたのは2010年頃で、弊社の顧問である健康経営研究会の岡田邦夫先生が「健康経営」という名前をつけました。

その後、日本の少子高齢化・医療費増大への打ち手として経済産業省が2013年に健康経営優良法人認定制度を設立して、認定企業500社を目指しました。現在は、「ホワイト500」「ブライト500」という認証マークのブランドも確立され、採用市場でも大きなインパクトを与えていると言います。取り組んでいる企業数は大企業だけで約3,200社、中小企業が約15,000社で、全国で2万社近い企業が取り組みを進めていると言えます。

健康経営に取り組まれる会社には、この認定取得を入り口にされる会社も多いです。ただ、認証取得はあくまでスタートであり、いかに本当に従業員を健康にし、モチベーションを高めていくかというのが大切なところです。

一方で、認証取得は経営からのメッセージにもなりますし、従業員の意識作りの素地にもなりますので、まずは第一歩として認証取得から始めることはお勧めしたいです。

保健同人フロンティアでは、認定取得のサポートも行っています。

*健康経営優良法人認定制度

https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenkoukeiei_yuryouhouzin.html

健康経営に取り組むメリット

■健康経営優良法人認定企業において、高ストレス者率が低減:ストレスチェックにおいて、高ストレス者の割合が有意に低い。職場の風土が大きく影響していることが考えられる。高ストレス者の減少は、メンタルヘルス不調予備群への早期対処ともいえるため、休職者発生リスクの低減にもつながる。■リクルートへの影響:従業員の健康に配慮する企業に就職したい就活生とその家族が増えている傾向から、健康経営に取り組む企業に注目が高まっている。■株価への影響:健康経営銘柄2021に選定された企業の平均株価とTOPIXの推移を、2011年9月~2021年9月の10年間で比較。銘柄に選定された企業の株価はTOPIXを上回り推移している。

健康経営による企業価値向上

企業価値の向上を目指していくには、土台となる健康づくりの実践を推進していくことが必要となる。既実施の健康施策の結果を把握して目標を決め、 効果検証を行うことが重要。また、業務パフォーマンスの指標であるプレゼンティーズムやアブセンティーズムを抑えることで、企業価値の向上に寄与する。【健康経営の効果が期待されるもの】・リクルート効果・イメージアップ・医療費・生活習慣病リスク・離職率・生産性・エンゲージメント・高ストレス者率【健康経営の取り組みにより得られるもの】・ステークホルダーからの信頼・評価【企業価値の向上を目指して】健康経営の実践・健康のアウトカム・業務パフォーマンス・企業価値

健康経営の取り組み方

-「健康」と言うと体と心があり、複合的のように思いますが、どのようにサポートをするのでしょうか?

企業における予防の考え方に、一次予防・二次予防・三次予防があります。

● 一次予防

病気の人も健康な人も関係なく、組織に勤めるすべての人に対して行う予防施策です。

例えば、相談窓口の設置、季節の健康情報(インフルエンザなど)の発信、健康診断、ストレスチェックなどがこれにあたります。ストレスチェックは2015年から法制度化され企業は年に1回すべての従業員に実施することが義務付けられています。弊社ではこのストレスチェックの実施はもちろん、健康行動を促すコンテンツや健康相談機能を有するアプリなどの提供により、企業をサポートしています。

● 二次予防

不調になりそうな方を早くみつけて、早期発見・早期対処するという予防施策です。ちょっとした変化を見つけて声をかける必要がありますので、人事や管理職の皆様へのコンサルティングが中心となります。

例えば管理職の方から部下の状況についての相談を受けたり、アドバイスを行っています。そもそも部下にどのように接したらいいか、どのような点を注意してみるべきかといった、ラインケアの教育も行っています。

● 三次予防

休職をされた方の再発予防と復職支援です。特にメンタル不調による休職は、常に再発のリスクがあります。そういう方々に対して、個別のカウンセリングで、本人の状態を見ながらサポートを行っていきます。一次予防に比べると対象となる方は少ないものの、とても個別性が高く、企業にとっては対処を誤るとリスクにもつながることが多いため、丁寧な対応が必要です。

会社によって、一次予防・二次予防・三次予防のどこに課題があるか様々なので、お話を伺って、対策をご提案します。

-「健康経営に取り組みたい」と考えた場合、何から始めたら良いのでしょうか?

まずは自社の健康課題を考えるのがスタートです。

健康経営の型みたいなものがあるにはあるのですが、それ真似すれば必ず自分の会社にインパクトがあるかというと、必ずしもそうではありません。

あくまで経営戦略の一つなので、何の課題をクリアすることで自社の経営課題の解決に繋がるか、を考える必要があります。

例えば、自分たちの会社の経営課題が離職なのか、採用で良い人が集まらないことなのか、年代の高い人が多く体の不調が多くて現場が疲弊しているということなのか、様々です。

人材に関わる経営課題は何か、それを解決するために健康経営は役に立つか、ということをまず考えていただけたらと思います。

-会社によると思いますが、課題が出てきたときの対応策はどういったことが多いですか?

「ヘルスリテラシー」と言いますが、従業員の健康に対する意識を高めるというのがとても必要だなと思います。

意識を高めると言うのは、スキルの獲得と異なり、繰り返し伝える必要のある、啓蒙活動のようなものなんですね。その中で自然と、例えば食事を選ぶときに「ちょっと塩分を気にしよう」といったようにきっかけが生まれる。リテラシーの獲得は、繰り返し行っていく必要があるというのはぜひ広めていきたいと思っています。

保健同人社フロンティアのサービス

創業は出版業で、累計300万部を超えるロングセラーの家庭医学書『家庭の医学』を出版している、創業75年を超えた会社です。

国民の皆さんの健康を願い、科学的根拠に基づいた正しい医療情報を発信していくというのが創業の魂であり想いです。媒体としては、書籍からアプリなど様々なサービスに変わってはいますが、同じ想いを引き継いでいます。

特徴としては、会社の中に専門職を180名程有しています。臨床心理士・産業カウンセラーといった心の専門家から、看護師・保健師・管理栄養士といった体の専門家まで、様々な専門家が全国にいます。ですので、例えば地方で不調者が発生した場合にも、近くにいる専門家がご要望の場所に伺うことができます。

また、2020年に三井物産が資本に入ってからは、サービスのデジタル化を進めており、「みんなの家庭の医学」というアプリやストレスチェック、健診データの管理システムの開発も行っています。

デジタルサービスと、専門職による人のサービスの組み合わせによって、他社にはないサービス提供をしていると思います。

サービスとしては、PDCAサイクルのどのフェーズでも関わることができますので、お客様の状況、ご要望に沿ってサービスをご提供させていただきます。

【MBK Wellness Holdings 傘下の事業会社概要】MBK Wellness Holdings(MWH)は三井物産100%子会社です。傘下の事業会社はすべて企業人事を主要顧客とするサービスを展開しています。

保健同人フロンティアの詳しいサービスはこちらをご覧ください

-最後に、健康経営の取り組みにご興味をお持ちの方に、メッセージをお願いします。

「健康経営」の名前がついてなくても、企業の中で従業員の方の活躍を思って行われていることは沢山あると思っています。それを一つ体系的にまとめて、何が足りないのか、何をやっていくともっと効果が出るのか、ということをボトムアップで考えていく時にも健康経営は大いに活用ができます。

今、人事の皆様が行われている取り組みの振り返りのきっかけに、健康経営のフレームワークを使っていただくのも良いですし、どんなフェーズのお客様であっても、しっかりサポートさせていただきますので、何か人材や健康に関わるお悩みがありましたらぜひお話しさせてください。

健康経営についてご興味をお持ちいただきましたら、是非営業担当者、もしくはお問い合わせフォームからご連絡をいただけたら幸いです。