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interviewインタビュー

白石 建

2021.05.25

白石が伝える目標管理 「自分の成長課題を落とし込み、自身の成長を実現する」

白石建 目標管理

今回は、弊社で目標管理・目標達成の研修講師をしております白石に、「目標管理・達成」の考え方について話を聞きましたのでお届けいたします。

この記事のもくじ

設定する目標は、会社のことではなく、自分の成長課題

アビリティーセンター 以下アビ白石さん、本日はよろしくお願いします。

白石さん 以下敬称略よろしくお願いします。

アビまずは白石さんの経歴を教えてもらえますか?

白石大学卒業して、アビリティーセンターに入社しました。営業を10年、人事総務系の仕事を10年で、一般職10年、管理職10年というキャリアです。人事総務では、主に人事制度や目標管理制度の構築や運営支援に携わり、営業所の時は当事者として社員育成や目標管理制度の運営をしていました。現場側と本社側の両方を経験していることが特徴かなと思います。

アビ早速ですが、白石さんにとっての目標管理・達成とは何か教えてもらえますか?ご経験の中でコツがあれば教えて下さい。

白石目標管理というと、目標を達成するため、会社が達成させるための、マネジメントの仕組みと捉えがちなんですが、実は、自分自身の成長課題を見い出すのが最も重要です。目標設定時に、いかに自分の今後のキャリアや今の自分の課題を含めた良い目標設定をするかが一番大事だと思います。

アビ自分の課題を含めるんですね。経験の中でコツがあれば教えて下さい。

白石「これが出来ないといけない。これを達成しなければいけない」という与えられたものから考えるよりは、仕事や生活している中で、「ここをより良く出来たら良いな」という自分からでてくるものから考える方が、よい目標が出やすいかもしれません。ここが一番のコツかなと思います。

アビそもそもですが、目標設定の目標とは、個人の目標か組織の目標か、どちらを指しているんでしょうか?

白石「個人か組織かと言うと聞かれると、個人と組織両方ですね。個人の目標の総和が組織の目標なので、そこをいかに連動していくか、そして、個人の成長課題と業績向上の取り組み課題とをいかに統合していくかが大事かなと思います。

アビそうすると、例えば分かりやすく売上で言うと、組織として〇千万円の目標があった場合、個人では〇万円、という設定ということでしょうか?

白石目標管理はノルマ管理と捉えられがちで、例えば組織で1千万円の売上目標があり、人数が10人いたら単純に分けると100万円ずつと言うことになりますが、これはきっかけでしかなく、目標管理にはなりません。
100万円を達成するために、本人はどんな成長が必要なのかということを掘り下げて、その成長をすることによって、今までなら売上が50-60万円のところが100万円まで伸びていく、そのギャップを埋めるための自分なりの成長課題を落とし込んでいって、そこに取り組むことが大事ですね。

ですので、上司は数字が目標の100万円に到達したのか結果を管理しようという立場で臨むと、目標管理は失敗します。ギャップが40万円であれば、その40万をいかにして一緒に達成していくか、ということを話し合うことが最も重要。現状と結果、現状と目標とのギャップは、対話のきっかけでしかなんですよね。
ここが結構難しくて、部下も「数字を達成しなきゃいけないのに、出来なかった」「100万円達成出来ないと評価が落ちる」と思いがち、上司も「100万円達成するのが本人の仕事」「上司は数字が達成するようにどう皆をマネジメントするかだ」という前提にとらわれてしまい、一緒に部下の実践プロセスを確認したり、そこから本当の課題を見い出したりといった対話ができていないケースが多いです。
目指すのは、目標管理を活用していかに育成するか、ということですね。

アビ目標管理は、育成なんですね。私が考える目標管理のイメージと全く異なっていました。

評価制度は柔軟であるべきもの、大切なのはどう運用していくか

アビ先ほどは一番分かりやすい数字でお話を聞きましたが、定量面を伸ばしていくには、もちろん定性的な部分が多くある訳で、そういう意味では、最終的には定性的な部分に着眼されているんでしょうか?

白石そうですね、定性面で言うと、本人が「これが出来るようになった」と思える成長、例えば行動習慣や態度を身に着けたときに、自分のその成長がどの定量的な数字に結びついているか、振り返られるようになることが重要です。これが紐づいていくと自分で考えて応用していく思考方法を獲得することにつながり、上司が指示や指導をしなくとも自分で考えて動ける範囲が増えていきます。
どの行動が成果に繋がるのか、ということを自分で考えて紐付けていくという過程が、本人の一番の成長になりますし、そのようにして成長していった方が考える手順や学び方を教えていくことができれば、組織としては一番理想ですね。

とても残念な話ですが、なぜか目標管理はすごく誤解されているような一面があります。日本企業に目標管理が入った時期や背景が影響しているのだろうと思いますが、個人主義的、報酬連動、ノルマ管理といった運営イメージが強くて、「目標管理を導入したら、(社員の)モチベーションが落ちた」という話もたびたび聞きます。
元々ドラッガーは「個人が自律的に自分の目標や行動を管理しながら、企業の成長と個人の成長を紐付けることで、統合的にマネジメントをする仕組み」といった感じで提唱していますが、実践出来ている企業は少ないのかなと思います。

アビ私も誤って考えていました。ちなみに、個人と組織が紐付かないというのは、どこが難しいんでしょうか?

白石難しい点は、管理職の対話力が一つあるのではないかと思います。あとは運用の仕方ですね。
管理職のフィードバック力、対話力によって目標統合していきますので、ここは非常に大事です。また、運用の仕方で言えば、人事制度に紐付いていることで、他者との比較から課題を見い出すようなプロセスになりがちです。相対評価だとなおさらで、会社の評価のために目標管理をしていると捉えられた状態で運営すると、対話の内容がガラッと変わってくるんです。何を目的に目標管理をしているかという視点の浸透度合いが大事ということですが、ここが非常に難しいところですよね。

アビ目標管理とすると、数字と捉えられてしまい、本来肝である本人の成長の部分まで落としこむところまで出来ている方が少ないということなんでしょうか。

白石はい。なので今目標管理の制度は上手くいかなかったので、例えば、プロセスや情意評価、コンピテンシー評価にがらっとシフトし、目標管理は辞めた方がいいのではという議論もあったりします。やっぱり目標があった方が成長が促進される、必要だよねという議論も根強くあり、いつも行ったり来たりしています。

アビ企業の最終的なゴールは、もちろん企業様によりますが、営利企業で言えば一つ数字があり、加えて社員のやりがい・働きがいということがあると思いますが、評価制度はその達成手段の一つだと思いますが、その手段が目標管理がいいのか、コンピテンシー評価等がいいのか、議論が行ったり来たりしているということなんですかね。

白石そうですね。過去は実績数字のウェイトを大きくしていこうという流れでしたが、今はそのウェイトを減らす流れもあります。「成長を支援する」という視点をもたせようと思うと、行動やプロセスを評価していった方がいいのかもしれない、という議論もでます。また、今は不確実性が高い時代ですから、目標設定も短スパンで3ヶ月毎~毎月に設定しようという流れもあります。
目標管理のやり方自体は柔軟に変えていかないといけないんですが、評価制度は給与とか色んなものに連動しているから変えにくいんですよね。また人も慣れてしまうので、(考えを)変え辛い。だからガチッと連動されている場合は、目標管理制度そのものの運用も短スパンで柔軟に変えていくことがしづらいようです。
結論を言えば、両方(定量・定性)統合していくのが大事なので、統合という意味ではどちらも大事なんですよね。ウェイト分けはありながらも、常に両方しなければならないんですが、そこをきちんと理解して運用していくのは非常に難しいように思います。
(社員としては)業績が良い時は業績で評価して欲しいし、業績が悪いときはプロセスで評価して欲しい、みたいな、報酬に紐付くと、そういった本末転倒な感情が湧いてくる訳です。不確実な状況である今だからこそ、実は結果にコミットするのも大事ですし、その辺のバランスを本当に理解する人をいかに社内に増やしていくかは大事になりますね。

アビ定量・定性の統合というのは良い考え方ですね。個人と会社の考えの統合にも繋がるのではないかと思います。

目標管理の理解は、評価者・被評価者両方に必要

アビ目標設定の研修は、評価者である管理職の方、もしくは、制度設計をされる人事部の方に行われているんでしょうか。

白石多いのは、管理職、もしくは管理職予備軍の方ですね。
今、ある会社様は、目標管理をもう一度やり始めようということで、全社員を対象に、人事の方と一緒に説明会&研修会を実施しています。「成長のための課題設定をいかにするかが目標管理なんですよ」ということを人事の方からにぶれないように説明し、その後にスキル面、目標の立て方や目標シートの書き方、運用のやり方を研修するようにしています。

アビ企業様によってもちろん評価制度は異なると思いますが、当社から提供させて頂く研修は、企業様の評価制度に合わせた形で、社員の方のご理解に繋がるようにお伝えされているのでしょうか。

白石一般的な会社様は目標・評価項目を何等か持たれているので、そこに繋がる形で、どういう風に目標設定を捉えればいいのか、どういう目標設定が本当に組織や自分達の成長に良いのか、ということを組み立てて研修しています。

アビ基本的には、評価側がよく理解されていないと、評価することも伝えることも出来ないので、まずは評価者である管理職の方、管理職予備軍の方が一番多いのだと思いますが、会社様によっては、被評価者の方にも「それはご自身の成長に繋がるんですよ」ということを伝えられているんですかね。

白石そうですね。結構面白くて、世代間の考え方の違いもあって、割りと高度経済成長期にバリバリ目標を達成されてきた方は、「目標があるからこそ、やらなければならないことをやるからこそ成長するんだ」という考えをお持ちの方が多くいらっしゃるんですが、それをそのまま今の世代の皆さんに伝えると、「押し付けられた」「私は会社のために働いているんじゃない」と思われる方もいて…、時代背景の違いが原因で、正しいことを伝えているのに響かなかったりするんですよね。
研修の中で若い世代の皆さんに対して、「実は私達の会社が考える目標管理制度は、評価報酬制度に紐づきはしているものの、実際は自己評価をし、課題をみつけて次に進むためのもの。上司はそのためのサポート役なんですよ。」ということを伝えるだけで、すっと理解して、自然と伸びていかれるような方も少なくありません。
さらに言えば、本来は人事部の方が言うよりも、直属の上司が、「自分達が自分達で評価をして、組織を良くしていくためのものなんだよ」とコミットしてくださるのが一番良いんですよね。評価は会社が与えるという構造になると、直属の上司が「よく頑張ってくれてるんだけどね、会社の評価としてはね・・」と他人事になってしまう。そうすると、なかなか自分達のためのものとして運用出来なかったりします。

アビその状態だと、評価者も被評価者もモヤモヤしますよね。

白石運用が難しいというのはそういったところですね。
今、若い世代の皆さんにとって、キャリアプランを自分で考えることは当たり前です。学校でも、就職活動でも真剣に自己分析をし、「自分にとって何が良い仕事なのか」を今まで以上に考えている方が多いんですよね。なので、若い方の方がこの話を聞いた時に刺激され、「それいいね」「自分のためになるな」と受け止められやすい傾向はあります。ですから、成長のための目標管理だと説明した後の運用は大事ですよね。上司の方が数字だけをみて「数字が上がってないじゃないか!どうやってあげるんだ。」という観点だけで対話を終えてしまうと、「え、会社が言っていた目標設定の話と違う」となってしまいます。ですので、(評価者・被評価者の)両方が理解しておくことに意味があると思いますね。

アビ若い方の方が、「自分のため」と受け止めて下さることがあるんですね。両者が自分事と捉えられるかが鍵なように思います。

目標管理のゴールは自分で意図したことの体験

アビお話を聞いていて、この研修をご発注してくださる企業様は、進んだ考えでいらっしゃるように感じました。

白石そうですね、社員の成長をすごく考えた時に、どうあるべきか議論されている会社様が多いですね。
あとは、制度はあるけれど運営が出来ていない、という会社様ですね。評価の時期になったら目標を思い出して振り返りはするものの、結局評価項目だけのフィードバックになって、「本当に上司の皆は部下一人一人の成長を支援出来ているのだろうか」という思いを人事の方が持たれてご発注頂くことが多いですね。

アビ社員の方を本当に考えていらっしゃるから、目標管理を意味のあるものにしようとされているんですね。

白石今、Vision・Missionが大事になっていています。これらはより概念的なメッセージなため、会社の意見と個人の意見をより統合できる範囲が広いんですよね。そのVision・Missionを体現できているか、毎日実感できているかがすごく大事ですね。こういった高次の目標がない場合、結局会社の目標と個人の目標をぶつけ合って折り合いをつけるしかなくなるんですよね。折衷になってしまう。向かっている目的や目標の上位に共通目標があれば、対話が活発になり、第三の新しい目標が出来るかもしれないと思います。
答えがあるもの、やらなきゃいけない、という考えが強ければ強いほど、良い目標が設定出来ないですよね。しなきゃいけない、よりも、今自分がこうなりたい、今の仕事でここが課題だ、ということの裏返しを出せば良い目標になります。

アビ目標設定は自身のことに終結するんですね。

白石研修では、どの仕事に取り組んだら、なりたい自分になれるのか、仕事プロセスの中でいかに成長できるかに集中して取り組みます。
何が出来るようになったら成長ですかね?ということを聞いたり、ディスカッションをしたりしてもらって、「今までこの課題には取り組めていなかったな」「○○さんをここまで成長させられたらいいんだ」というような、これまで向き合えていなかったことに気づいていただけると嬉しいですね。よい目標を設定し、色んな人の支援を受けながら実践することで、自分が設定した成長経験をとおして計画的に成長していく過程を体験する、ということをゴールにはしていますね。

アビ目標管理・達成の研修で一番お勧めの点は何ですか?

白石実際自分達が今作っている目標を研修の中でしっかりブラッシュアップしていくところがお勧めです。
普段は、時間をしっかり取って目標を考えることがなかなかできません。ですから、「研修という場を使ってじっくり考えられた」とか、「研修という場を使って色んな部門の人の意見を知れて、協力出来る気がした」というご意見をいただくことがとても多いですね。目標設定を通して部門間を超えたチームワークができてきて、「自分が立てた目標をやってみよう」と行動につながっていくと嬉しく思います。

アビ自分の成長のために行うことを理解いただけた結果ですね。個人だけでなく、チーム力にも繋がるというのは新たな発見でした。
最後に、今一押しの研修やサービスがあれば教えてください。

白石wevox※はお勧めです。世代間コミュニケーションのギャップが課題となっているケースも多い中、本音で語り合うきっかけとして活用されています。例えば評価面談のあとに、数字がどう動いているかも見られますし、社長の方針発表の後にも動向を見られます。パルスサーベイといって1週間~4週間ごとの短スパンでのサーベイですので、変動しながら生活をしているメンバーが、常時自己チェックをしたり、マネージャー層がチームの状況を家訓して時々の施策を話し合ったりするきっかけにでき、リアルタイムでPDCAが回せます。本音を言っていい、失敗を許容できる、といった組織風土の醸成と、目標設定は馴染みがいい。高い目標に挑むとき、周囲の協力は欠かせませんから。

 

※wevox

今話題であるエンゲージメントサーベイツール。エンゲージメントとは、組織や仕事に対して自発的な貢献意欲を持ち主体的に取り組めている状態を表した指標のこと。wevoxは現状で国内採用企業数No.1で、大手企業を始めとする1,550を超える企業・組織が導入しており、弊社もパートナー契約を結んでおります。

 

アビ今日はありがとうございました。

 

白石は営業での現場経験と、管理部門での制度設計経験を持ち、実地に根付いた内容をお伝えさせていただいております。本日考え方をお伝えした目標管理・達成の研修はもちろん、最後にご紹介しましたwevoxも弊社からご案内させて頂くことが可能ですので、ご興味をお持ちいただきましたら、是非営業担当者、もしくはお問い合わせフォームからご連絡を頂けたら幸いです。

 

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