interviewインタビュー

2024.11.28
藤岡先生に聞く~ビジネスパーソンに必要な自己理解とは~
今回は、30年間勤めた会社を退職して講師となった藤岡先生に、そのきっかけとなった「自己理解」の重要性についてうかがいます。
藤岡 保廣 先生 プロフィール:
1993年に四国のIT会社にSEとして就職、様々な部門の管理職(人事・労務・全社教育、支店長、法人営業の商品開発・コンテンツマーケティング・営業研修など)を歴任する。
40代半ばにMBTIという自己分析ツールに出会い、自分の認知スタイルを知ることの重要さに気づく。その後、MBTIだけでなく、クリフトンストレングスという強み発見のメソッドを学んだことで、自己理解を深めることが、チームビルディングにおいて有用であると確信し、自己理解を促進する研修を提供することを目指し、30年間勤めた会社を退職し講師となる。
聞き手|アビリティーセンター企業研修グループ 田中恵子(元高知放送アナウンサー)
ミッドライフクライシスを経験し、MBTIに出会う
-まずは、30年勤めた会社を辞めて、講師として独立したきっかけを教えていただけますか?
藤岡:実は、講師になろうと思ってやってきたわけではないんです。40代になっていわゆる「ミッドライフクライシス(中年危機)」を経験しました。これは第2の思春期と呼ばれるもので、人生の前半の40代までは、「どうやって社会に適応するか」というHOWの部分にエネルギーを注ぎますが、人生の後半に差し掛かる40代を過ぎると、「なぜ自分は生きるのか」というWHYの部分に焦点を当てるようになり、男女問わず誰しも多かれ少なかれ経験すると言われています。私も40代過ぎからそういったものに直面し、またちょうど同時期に東日本大震災を経験したことで、悔いのない生き方とは何か、今の会社にいるのか、チャレンジして生きていくのかという選択肢を考えるようになりました。それまでは社内の人たちとの付き合いばかりだったんですが、いろんなセミナーに出かけ、いろんなコミュニティに参加し、社外の人と触れ合うようになって人生観を広げてきたというのが一つあります。そんな中で出会ったのが、MBTIなどの自己理解を深めていく研修です。「自分のことを一番知らないのは自分だった」ということが分かり、その重要性に気づかされ、学びを深め、社内での教育をしたりしていくうちに、独立を考えるようになったんです。
-具体的にはどんなところが響いたんでしょうか?
藤岡:若いころから不思議に思っていたことがあって、何かというとコミュニケーションなんです。会社員時代、人事で採用をしていましたが、就活生の面接をすると「私は学生時代、リーダーシップを発揮していました」と言う。「じゃあリーダーシップを発揮する上で大事にしたことは何ですか」と聞くと、「コミュニケーションです」と答える。職場で問題が起こると、コミュニケーション取っていないからだと怒られる。何なんだ?コミュニケーションって。みんなコミュニケーションって言っておけばいいと思っていないか?とずっと思っていたんです。
-わかる気がします!「コミュニケーション力」って明確な物差しもないから、とりあえず言っておくという側面、あるかもしれませんね。
藤岡:それを理解したくて心理学を学び、良いと思った理論は実践もしましたが、それでもコミュニケーションの齟齬は起こるんです。なぜだろうとずーっと思っていた時に、MBTIに出会い、人それぞれに備わっている認知スタイルが違うということにふれて、「あ!だからうまくいかないんだ」ということがわかったんです。
なぜコミュニケーションの齟齬が生まれるのか
-その認知スタイルとはどんなものなんですか?
藤岡:私たち一人ひとりに備わっている情報処理システムと言い換えてもいいのですが、私たちは朝起きてから寝るまで、なにがしかの情報を取り入れ、なにがしかの判断を繰り返ししています。そしてその後に行動する、もしくは行動しないとなるのですが、行動の前には認知システムが必ず働いている、そしてこの認知システムは、小さいころからずっと無意識に自然と使っているので、よもや人と違うと思わないわけです。でも実は一人ひとり違うので、コミュニケーションの齟齬が起こっちゃうんです。認知スタイルが違うと、同じ日本語でも言語が違うと言われるくらい違うんですよ。
-確かに、分かり合えない時って、同じ言葉を全然違うように受け止めてるなってことありますよね。
藤岡:この一人ひとりに備わった認知スタイルの違いにより、自分がよかれと思ってしたことが、逆に相手を傷つけたり、自分がやってほしくないことが、実は相手にとって喜ばれることもあります。そのことに気づくことができました。
-MBTIを知って、コミュニケーションは変わりましたか?
藤岡:今までなら自分と違う人のことを「わからない人だな!」「この状況でそんなふうに考えないだろう」と思っていたのが180度変わりました。「ちょっと話を聞いてみたい」「あなたの考えってどういう考え?」といった、違いを活かした建設的なコミュニケーションが取れるようになり、健全な人間関係の構築ができました。
自己理解はビジネススキルとして必須
-このMBTIや、クリフトンストレングスなどを、どのように研修に取り入れていますか?
藤岡:まずは管理職の方に受けていただくんです。そうすると、部下のことを知りたくなる。管理職からはじめて、新入社員から役員まで、全階層に受けていただくのが理想ですね。
ビジネススキルとして自己理解は必須です。自分のことを深く理解すると、他人のこともわかるようになります。そして自分と他者との違いが明確になれば、違いを建設的に活かす補完のしかたや、自分の成熟のための指針も得られるので、本当の意味でのダイバーシティを活かすことができるようになります。チーム作りをしていく上で、コミュニケーションの共通言語として、MBTIで認知スタイルを理解する、その次に仕事で成果を出すために、クリフトンストレングスで自分の才能を理解し強みに変えてもらい、その強みを活かした役割を果たしてもらうという順番で伝えていきたいと考えています。
-部下の指導や1on1でも活かされそうですね。
藤岡:もちろんそうですね。上司に限らず、親や先生の指導でよく起こるのが、みんな部下や子どものことを思っていて、「成長させてあげたい」「成功体験を積ませてあげたい」と思っているんですが、自分が成功したやり方で部下や子どもにやらせちゃうんですね。でもそのやり方は、指導者にとっては、自分の強みを活かしたやり方だとしても、部下にとっては実は弱みかもしれないんです。弱みを使おうとすると部下は本当に苦労しても結果がだせない。そして、この子はダメだとなってしまう。大事なことは、その子の強みを使ったあなたらしいやり方で成功しませんかという伴走型にしていかないと、なかなか部下を成長に導けないんです。
-上司が「相手のことを思って言っているのに何でわかってもらえないだろう」と感じるのは、世代が違うからではなく、強みが違うからだとわかると、楽になりそうですね。どうもありがとうございました。
藤岡先生の研修にご興味をお持ちいただきましたら、営業担当者、もしくはお問い合わせフォームからご連絡いただけたら幸いです。