新入社員受け入れにあたって ― 管理職が押さえておきたい視点
2026/2/26
新入社員を迎えるたびに、管理職から聞こえてくるのは「どう関わればよいのか」という戸惑いの声です。世代の違いが語られることも多いなかで、本当に押さえておくべきことは何なのでしょうか。現場で数多くの管理職研修を行ってきた鳥居勝幸氏に、新入社員受け入れのポイントについて聞きました。
鳥居 勝幸氏のプロフィールはこちらをご覧ください。
聞き手|アビリティーセンター企業研修グループ 田中 恵子

新入社員受け入れで管理職がやりがちな「2つのこと」
-新入社員を受け入れる管理職にとって、大事なことは何でしょうか。
鳥居:ざっくり言うと二つだと思うんですよね。一つは、必要以上に強い関係を作ろうとしないこと。もう一つは、ほっとかないことです。この二つで失敗する人が多いのかなと思っています。
管理職の方は、自分が育った時代の感覚がありますよね。上下関係をきちっと作ろうとか、強い絆で結ばれなきゃいけないとか、職場の一体感を作ろうとか、そういうことを望む。でも今の新入社員は、ちょっと違う。そこにまずギャップがあるんです。早く関係を作ろう、早く仲間にしようと一生懸命になるほど、新人が少し引いてしまうことがある。うまくいかないので「ジェネレーションギャップがあるから仕方ないですね」と言って、ほっといてしまう。これもよくある。
だからまずは、強い関係を作ろうとしすぎない。でも、放っておかない。このバランスが大事なんだと思います。
今の新人は何を求めて会社に来ているのか
-そのギャップというのは、どんな点にあるのでしょうか。
鳥居:今の新人は、かなり明確にお金を得るために会社に来ていると思います。アルバイト経験も豊富ですし、「会社は生活費を得る場所」という感覚が昔よりはっきりしている。もう一つは、ビジネスパーソンとして知識や技術を身につけたいという思いです。専門性を高めてキャリアを積みたい、ということですね。だから、人と仲良くなるために会社に来ているわけではない。でも、気まずい関係にはなりたくない。ここが大事なんですよね。
管理職は「絆」「一体感」「仲間」という感覚を早く共有したい。でも新人はそこを最初から求めていない。強い絆や横のつながりの大切さを実感するには、たぶん三年から五年はかかると思います。なのに一年目からそれを求めるから、うまくいかなくなるんです。
答えは「仕事の話が普通にできる関係」
-では、どう関係を築いていけばよいのでしょうか。
鳥居:難しく考えなくていいと思っています。仕事の話を普通にできる関係になること。まずはそれで十分です。趣味の話や家族の話で仲良くなる必要はない。相手が話したいなら聞けばいいけれど、無理に広げなくていい。
大事なのは、「教えて、やってもらう」「やったことを報告してもらう」。この「報告してもらう」が、実はとても重要です。教えたことは、今の人はきちんとやってくれます。上手か下手かは別としてもやる。だから報告があれば、上手なら褒めて次のハードルを上げればいいし、下手ならティーチングしてもう一度やってもらえばいい。このやり取りが続けば、仕事の話は自然にできるようになります。最初の一年は、これで十分なんじゃないかと思います。
カギを握るのは「先輩層」
-管理職と新人の間にいる先輩の存在も重要ですね。
鳥居:そうなんです。実は一番大事なのは、間にいる先輩たちです。先輩はだいたい二つに分かれます。一つは、兄貴分・姉貴分になりたいタイプ。面倒見はいいんだけど、ともするとマウントをとってしまったり、子分のように扱ったりしてしまう。もう一つは、無関心タイプ。新しい人が来ても特に関心を持たない。管理職として、それぞれのタイプに伝えておきたいのが、兄貴・姉貴分タイプには、「仕事で親切な先輩になってください」ということ。趣味や家族の話は、相手が望めば付き合えばいいけれど、無理に距離を縮めなくていい。無関心タイプには、深い話はいらないから、挨拶と声かけだけは自分からしてほしい、と伝えておく。それだけでいいんです。
新人は仲良くなりたいわけではないけれど、気まずい環境にはなりたくない。だから、挨拶や声かけがあるだけでも安心できるんですよね。
時代は巡る。だからこそ、熱くなりすぎない
-鳥居先生は、なぜ新人の気持ちがわかるのでしょうか。
鳥居:考えてみると、私が新人だった頃も、わりと今の新人に近かったかもしれません。お金をもらいに来ているし、技術を覚えられたらありがたい、というくらいの感覚でした。私たちは「しらけ世代」と言われましたね。みんなで熱くなる、というのが少しダサいという空気もあった。時代は巡っている感じがします。
だから管理職の方に言いたいのは、あまり熱くなりすぎないことです。相手が引くこともある。一生懸命やっているのは分かるけれど、その一生懸命さが、上からのアプローチになってしまうことがある。
仕事の話を、普通に。それを積み重ねることが、結局いちばん確実なんじゃないかと思います。
管理職としての役割や姿勢について、より体系的に整理したい方は、鳥居 勝幸氏による動画プログラム「管理職の役割と姿勢」もぜひご参照ください。